vol.172

 室温28度のリスク

 夏本番を迎え、連日猛暑日が続きます。
電力需要が厳しくなって節電が意識させられる中で、家庭で一番気になる電機製品といえばエアコンです。暑さで使わない訳にはいきませんが、とにかく設定温度を高めにして節電に協力している人は多いはずです。
 家電メーカー等は、エアコンの設定温度を28度にしようと呼びかけていますが、それにしても、なぜ28度なのでしょうか。

 それは、1972年に厚生労働省が定めた「労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則」や1970年に制定された建物内の衛生基準について定めた「ビル管理法」に基づくようです。その規定(法律)には「室温が17度から28度になるよう努めなければならない。」とかかれてあります。
 また、2005年の夏に小池百合子環境相(当時)が打ち出したクールビズ施策の中で
温室効果ガス削減を達成する方策のひとつとして室温28度が呼び掛けられたこともひとつに考えられます。 国が推奨するなら、人体に危険はないだろうというイメージを持ちやすいですが、この温度設定は、あくまでも節電を目的とした温度であって、決して健康的な生活が送れる温度ではないそうです。
 というのも、すでに経験済みだと思いますが、涼しくはないからです。付けないよりはマシって程度で、暑い外から部屋に入った瞬間は涼しいですが、5分もしないうちに汗がにじんできます。エアコンの設定温度が28度でも、温度計は29度〜30度を示しているので、私の場合は、汗かきな事もあり、室内に入っても汗がとまらず、タオルが必需品になっています。仕事の出先でも気を遣って頂き、エアコンの温度を下げて下さる方もいらっしゃいます。外回り等で、外気温に触れる機械が多い人は、この設定温度では、体温は下がりません。熱中症を引き起こす恐れがあるらしいのです。
 なぜなら、40度近い外気温にさらされた体は、表面だけでなく脳や内蔵までが熱を持った状態になり、体温も三十八度近くになっているからです。

 それを冷やすには、25度くらいの室内に1時間以上いて、さらに冷水などを摂るしかありません。28度は、熱中症を起こさないギリギリの設定温度であり、湿度が高い場合は熱中症の警戒ゾーンです。それを考えると、対応策として、常温の水をこまめに飲む、濡れタオルで頭部を冷やす、顔を中心に風をあて、血流を利用して冷ます等、体の内部から冷やすと良いそうです。また、扇風機で気流を作り、除湿器で湿度を調整するのも暑さをしのぐ為の工夫と言えるでしょう。節電に取り組みながら、今年の猛暑を乗り切りましょう。
藤居 宗一郎
 


 スイカ
 今年も暑い夏が続いています。今回は少しでも涼しい話題をお届けしようと思い、夏に欠かせないものについて書いてみました。そのかかせないものとは、スイカです。
 できることなら大口を開けてむしゃぶりつきたいスイカですが、食べるときにどうしても気になるのが種です。中には気にせず飲み込んでしまうという方もいらっしゃいますが、私は面倒ながらも取り除きます。
 しかし、市販されているスイカの中には「種無しスイカ」というウソのようなスイカが存在します。一体これはどうやって作られているのでしょうか。

 まず、種がある普通のスイカは、遺伝の性質を決める染色体が2組ある「2倍体」と呼ばれるもので、種無しスイカは染色体が3組ある「3倍体」という、種を作る能力を持たない特別な種類です。種がないので当然3倍体から3倍体のスイカは作れません。そこで2倍体のスイカを何とかして3倍体にするのですが、これにはなんと3年もかかるそうです。
 まず1年目には普通の2倍体の種をまき、
双葉が開いたときに、染色体の数を倍にする作用を持つホルモンをかけて育てると、4倍体の染色体を持つ種ができます。

 2年目は、4倍体の種を育て、雌花に2倍体の雄花の花粉をつけると、3倍体の種ができるのだそうです。
 そして3年目、3倍体の種をまくことによってようやく種無しスイカが収穫できるのです。
 あまりに手間がかかるため、現在はなかなか入手困難なスイカですが、運良く見つけたら是非、買ってみたいものです。  そのスイカを作るのにかかった労力を考えれば、自然とありがたみがわいてきて種ありスイカの倍、おいしく感じるかもしれません。
松岡 裕介

 電子レンジの意外なタブーとは
 電子レンジを使う際の注意として、卵を温めてはいけないというのは有名なお話です。他にもイカや銀杏など「皮や殻がある食材」をレンジで温めると、内部の水分が膨張して、破裂する可能性があるため危険!とのことは、ご納得いただけると思います。
 しかし、危険ではないはずの食べ物をほんの少量、温めようとしただけなのに、火が出たことがある(らしい)。という話もちょくちょく耳にします。
 実はこれにはきちんと理由があるのです。「ほんの少量」というのがポイントのようです。
 電子レンジは、電波(電磁波)で水分子を振動させて、ものを温める機械なので加熱物が少ないと、電波が集中してしまい、発火や発煙に繋がることがあるのが理由のようです。
 実はこれ、レンジの説明書にも書いてあることなのですが、皆さんはご存知だったでしょうか?
 では具体的には、どれくらいの量だと危険なんのでしょうか?
 どんな食材でも100g以下の量で加熱するのは、避けた方が安全です。また、レンジはきちんと掃除しておかないと、食品カスに電波が集中し、火花が散って発火したり、そうでなくても老朽化を早めることがあります。パッと見て汚れている!と分かるような状態になる前に、掃除しておきたいところです。
 電子レンジの誤った使い方が原因で、火事になってしまわない様に注意していきましょう。
大村 朋子

 「後の祭り」は本当にある
 チャンスを逃して後悔する事を「後の祭り」と言いますが、この言葉よく考えるとヘンですよね。
文法的には「祭りの後」が正しいのではないでしょうか?
「オズの魔法使い」という有名な作品がありますが、このオズとはエメラルドの都に住む奇術師の名前なので、「魔法使いのオズ」とでもすべきです。 まあどうでもいいことですが、これと同じ事が「後の祭り」にも言えるのではないでしょうか。ところが、これを詳しく調べてみるとこの慣用句に限ってはこの言い方が正しいのです。というのは、「後の祭り」は7月1日〜29日まで京都で行なわれるあの祇園祭の一部だそうです。
 祇園祭の醍醐味はなんといっても山車と鉾車(ほこ)が繰り出される17日の山鉾(やまほこ)です。これを「前の祭り」と呼び、24日からを「後の祭り」と呼んで区別するそうで、後の祭りには山鉾などは出ず、いまひとつ盛り上がらない。 そんなところからこの言い回しが生まれたそうです。ならば「後の祭り」なんてものを作るんじゃなかったと京都の人が嘆いても、それこそ後の祭りですよね。
山本 拓也