vol.175

 お札が貯金箱に生まれ変わる?

 近年ブラウン管テレビや、エアコン・冷蔵庫といった電化製品がリサイクルされているのはご存知だと思います。他にも瓶・缶・ペットボトルなどもリサイクルされて、他の商品に生まれ変わっています。ではお札もリサイクルされていることはご存知だったでしょうか?
 例えばあまりにも使い古されていると自動販売機にはなかなか入らなかったり、使うのもお店の人に申し訳ないような…、そんな、ときおり出会うヨレヨレのお札がありますよね。
 そういったヨレヨレお札を含むすべてのお札は、日本銀行で自動鑑査機に通して、そこで汚れや損傷により再流通に適さないものが処分にまわされます。紙幣にはそれぞれ平均寿命があって、1万円札で4〜5年程度、
千円札や五千円札になると、つり銭のやり取りなどで使用頻度が高く、
傷みやすいため、一万円札より短めの1〜2年程度だそうです。
 その量は年間で約3000トンにものぼるそうです。紙幣の重さは約1gなので、単純に計算するとおよそ30億枚もの紙幣が裁断処分されているわけですよね。
そう考えると、なんだかもったいないような気もします。
 しかし世の中に流通するお札が汚いままだと、偽造券との見分けがつきにくくなります。汚れたお札を裁断処分して流通紙幣をきれいに保つことは、偽造防止の観点からも重要なようです。そこで裁断されたお札は約半分程度が一般廃棄物として、各地方自治体の焼却施設で処分され、残りはリサイクルされます。
 しかしお札は偽造防止の観点などから特殊な製法で作られているため、繊維質を取り出しにくかったり、インキを抜いてきれいな原材料にすることが難しく、業者の方もリサイクルするのにひと苦労なのだそうです。それにしても、お札は何に生まれ変わるのでしょうか?
 リサイクル利用として多いのは、住宅用外壁材だそうです。その他には、トイレットペーパー、固形燃料、貯金箱、事務用品などにも利用されているそうです。
 材料がお金という点を生かしたユニーク商品もたくさんあって、紙幣裁断くずをリサイクルしている某会社では、「Time is Money(時は金なり)」と名づけられた時計や、「だるマネー」というだるま型の縁起物貯金箱を発売しています。
 様々な持ち主の手を渡って寿命をまっとうするお札たち。
「お疲れ様」の気持ちを込めて、リサイクルグッズをチェックしてみてはいかがでしょうか?
大村 朋子


 「ドジ」を踏む―何を踏んでいるのか?

 「ミスが多い人」「失敗が多い人」と言われれば落ち込むし腹も立つでしょうが、
「ドジな人」ならば笑い飛ばせてしまえないでしょうか。
 自分のことを「ドジなもので」などと軽く自嘲していう人もいます。
 「ドジ」という言葉には、失敗はするけれども許せてしまう、笑えてしまう、
そんなニュアンスが含まれているように思えます。

 ですが、これが「ドジを踏む」というとまた少し感じが変わってきます。「あいつはまたドジを踏んだ」「仕事でドジを踏んだ」といたようにいくらかトゲのある言葉になってくるのです。  どうも、「ドジ」は踏むとまずいものらしいのですが、では、踏んではいけない「ドジ」とはなんのことなのでしょうか。「ドジ」は「土地」という語が変化したものだといわれています。 昔は、相撲で土俵の外に足がついて負けてしまうことを「土地を踏む」と言い、それがドチを踏む→ドジを踏む、と転化していったそうです。ここから転じて、失敗することを「ドジを踏む」というようになったのです。
 力士にとって土俵際はまさに勝負の分かれ目となる生命線。
 どちらかが踏み超えなければならないものですが、それを「ドジを踏んだ」などと言われたらたまったものではないですね。今回 この話しを調べるまで、
「ドジ」という言葉がまさか相撲から来ているとは思いもよりませんでした。
まぁ何にせよ「ドジ」は踏まないように気を付けたいものですね。 
山本 拓也

 カニ缶の紙
 カニやエビは他の缶詰と違い、中身が半透明な白い紙で包まれています。それはカニ缶が高価な物だから、他の缶詰より丁寧に扱った物だと思っていましたが違うようです。身が崩れやすいので、それを防ぐためでもなく、もちろん腐るのを防ぐためのものでもありません。
 それならなぜ紙を入れる必要性があるのか、という疑問が残ります。
実は、カニやエビのような食材が持つ硫化物の成分が原因の一つなのです。
 カニやエビを長時間金属の缶の中に長く入れておくと、「ストラバイト現象」という反応が起きます。これは、カニやエビに含まれている成分と、缶の鉄やスズとが化学変化を起こして、ガラス片の様な物質を作り出すものです。
 また、これによって変色をきたしたり、味を悪くしたりする事もあります。
それをある程度防止するのがあの白い紙です。名前を「酸性パーチ」と呼びます。
 なぜガラス状の物質が発生するのか?なぜ酸性パーチはそれを防ぐのか?
理由は分かっていませんが、長い経験上から、この紙が効くから入れているだけだそうです。
この物質は、毒性のものではないので、たとえ缶に入っていても心配する事はなく、食べてしまっても胃の中で溶けるので問題ないそうです。
藤居 宗一郎

 「円」
 日本の通貨単位である円、日本銀行券を見ると「YEN」と表記されています。
しかしこれでは発音は「イェン」になってしまいます。なぜそのまま素直に「EN」としなかったのでしょうか? 
 それは「EN」では「イン」と読まれてしまうおそれがあるためで、外国人は「イ」という発音が苦手で、そのためにYをつけて「イェン」と書くのだそうです。
さて、この円、なかなかうまいネーミングだと思うのですが、一体誰が考えたのでしょうか。
 政府と言ってしまえばそれまでなのですが、中でも大隈重信は円の成立に大きな役割を果たしといわれ、円の考案者といえば彼の名が挙げられることが多いです。
 重信は今までの、両(りょう)、分(ぶ)、朱(しゅ)という通貨単位のときに採用されていた、一両の4分の1が朱という四進法だった単位を、今もお馴染みの1円が10枚で10円、10円が10枚で100円といった十進法にしたり、銭・厘の導入など新通貨の成立に貢献しました。
 それに、円について反対意見が出たときは親指と人差し指で円を作り、「円形がお金を意味することは誰でも知っている。どうだろう、新単位はやはり円がよいのではないか」と言ったとか。
 何気なく使うお金にも意外なエピソードが隠れているものです。
松岡 裕介