しかし、バレンタインデーの起源は明るい話ではありません。
3世紀のローマ帝国は、後に“軍人皇帝時代”と呼ばれる、軍隊が皇帝を擁立・廃位した軍事的内乱時代でした。
皇帝クラウディウスニ世は、「兵士達に恋人ができると、愛する者を想うが故に、戦争に行きたがらなくなる」と考え、兵士の結婚を禁止する法令を出しました。
しかし、この法令に反し愛し合う男女を密かに結婚させていたのが、当時禁教であったキリスト教の司祭バレンチノ(バレンタイン)でした。
これを知った皇帝は怒り、バレンチノを捕らえ、270年2月14日に、棍棒や石でなぐり殺しました。
その後、キリスト教はローマ帝国の国教となり、2月14日はバレンタイン司祭の死を悼む
「聖バレンタインデー」となりました。
最初は、バレンタイン司祭の殉教を讃える日でしたが、中世ヨーロッパで聖バレンタインは愛の守護神とみなされるようになり、14世紀頃からこの日に恋人たちが贈り物やカードを交換するとか、その日の最初に出会った異性を「バレンタインの男性」「バレンタインの女性」と向こう一年間呼び合うという風習などが出来てきています。そしてこれが第一次世界大戦後にアメリカで急速に恋人達の日として普及し、日本でも昭和50年代前後から「女性が男性にチョコレートを贈って愛を告白する日」として広まりました。現在国内の調査によれば約60%の女性がこの日にチョコレート等の贈り物をしているとのことで、チョコレートの消費量もこの時期に年間のニ割程度を消費しているようです。
つまり、バレンタインデーは、女性から男性へ一方的に告白する日でも、恋人同士だけが愛を告白する日でもなく、広く愛し合う者同士が気持ちを伝えあう日です。
現在では、2月14日にチョコレートを送ることが気持ちを伝える手段に成っていますが、送る数が多ければもらう側は本命なのか義理なのかわからなくなってしまう時も有ります。
バレンタインデーだからといってプレゼントは、チョコレートに限りません。気持ちが伝われば、何でも良いのではないでしょうか。 |
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藤居 宗一郎